雛の刷り込みの話

世の中の人間は、幼少期に基本的な人格は形成される。

家族や友人、アルバイト、土地など出会った人の数に応じて内へ内へとあった自意識が広がり、ボコボコにされ、おそらく一般的な常識とされるものを身につけていく。

6年一緒にいた年上の彼氏がいた。初めての彼氏だった。デートも、キスも、喧嘩も、週末のお泊まりも、京都と東京の遠距離恋愛も、たくさんの初めてを一緒に経験して別れた。

 

今は別の人が隣にいるけど、洗面台の髪の毛を拭ったり、ふと癖で年下の彼に敬語で話しかける、そんな時家族や友人に作られたものではない、「あの人の形成した私」がいる。

5本指の靴下、寝顔の写真、少し猫背で、メガネ、TV番組が好きだったことだとか、そんなことを思い出して「元気かなあ」って思うと同時に、あの6年は確かに私の中にあり、今の私を作っているのだなと思う。別れてから何度か会ったけど「思い出の彼」と「現在の彼」は勿論別人なので、もはや美化された記憶が疑わしい。

あの街を逃げ出しておいてよかった。まだ京都駅には行けない。

あとパンが食べたい。

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